著書『2030年 すべてが、『加速』する世界に備えよ』
著:ピーター・ディヤマンデス・スティーブン・コトラー
第10章 寿命延長の未来 「老化」は克服できる
科学者たちは現在、私たちが衰える「原因」は、主に9つあると考えている。
⑦老化
細胞はストレスにさらされると「老化」することがある。細胞分裂の能力をうしなうと同時に、死ななくなるのだ。この「ゾンビ細胞」は身体から排除されない。
蓄積され、炎症を起こす。
⑧幹細胞の枯渇
老化に伴い、幹細胞の供給が激変する。時には1万分の1に減少することもある。さらに悪いことに、残った細胞の働きも一気に悪くなる。この結果、体内組織や臓器の修復システムが機能しなくなる。
⑨細胞間コミュニケーションの劣化
血液、免疫系、内分泌系でメッセージを交換することで行われている。だがシグナルが伝わらなくなる。
反応しなくなる細胞もあれば、炎症を引き起こすゾンビ細胞になることもある。こうなると、免疫系は病原菌を発見できなくなる。
カギは「血液」
2000年初頭 ドラキュラ説。
マウスの実験;若齢マウスの循環系を老齢マウスと結合し、血液を送り込んだ。
結果;一目瞭然だった。若い血によって、老いたマウスは生気を取り戻した。効果は見た目だけでなく、組織や臓器は、はるかに若く健康なマウスと同じ特徴を示すようになった。
その後の研究の結果、逆の真なりであった。
この結果、ハーバード大学のチームは、若い血液が脳内で新たな神経細胞の形成を促し、老化に伴う心臓壁の肥厚を逆転させることを明らかにした。
ついに根本治療として、成長文化因子(GDH11)の分子が、少なくとも1部をもたらしていることを突き止めた。
2014年;成長文化因子(GDH11)をマウスに注射するだけで、強靭さ、記憶力、脳への血流改善することを示した。
その後、老化に伴う心臓病の抑制、筋肉の修復、運動能力の改善,脳機能の強化など、恩恵は広がった。
「黄金の山の中で針1本を探している」
血漿には1万種類以上のたんぱく質が含まれているからだ。
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